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祟符「ミシャグジさま」



御射宮司祭、新刊、出ます!
「循環する秋の女神」/秋姉妹メイン掌編集/文庫サイズ44頁/300円
冬02「ゐた・せくすありす+Alya」にて頒布してます。
風神録関連の既刊も持って行く予定ですので、興味ある方はお立ち寄りして頂けると幸いです。
表紙はヒカルフィリアのもなつさんです。穣子さまは裏表紙にいます。
「いただきます」
箸をとり、もそもそと茶漬けを掻き込みながら、境内へ視線を落とす。夏が終わりきり訪れるべきは秋であり、暖色に染まった落葉が石畳を鬱陶しいほど覆っているはずで、毎日が楽しい楽しい掃除日和な情景が広がっているべきなのだ。
されど、石畳に積もる葉は、濃淡の違いはあれど、全てが青い。染まらぬまま、寿命を全うして枯れ落ちる。
 夏が終わった幻想郷に訪れた季節は、虚無であった。
 不作の秋ならば、まだよかっただろう。それですらない。秋が短く一足飛びに冬が訪れたならばマシだった。だがそういうわけでもない。
 食後のほうじ茶を啜りながら、霊夢は事態を再認識する。
 異変である。
 間違いなく。
 ……やだなあ、面倒くさい。
 後片付けを済ませると、縁側から境内へ降り、まだ青い葉を履き集めながら、起きた時と変わらずに、憎たらしいほど、抜けるようなという比喩が似合う、透明感のある青空を見上げた。地上の異状など関さずといった様子で、雲がひとつもない陽気となっている。 和やかな小鳥の囀りさえも聞こえる。
「……幽々子の異変よりも、ちょっと嫌な感じ」
 呟きが涼風に溶けて消える。
 幽々子の異変。何年前かに起きた、冥界に春が独占されたせいで冬が停滞した異変。
 あの時は、魂魄妖夢が集めた春を奪還して、細かいことをいなせば済んだ。幽々子は亡霊で妖夢はどっちつかずの半人前。しかしきっと今回の黒幕は、恐らく神様というやつで、霊夢のやる気を削ぎ落とす。巫女という職業病なのか、ここ最近ずっと山の上の神社が引き起こすあれこれに振り回されっぱなしだからなのか、どうも神という存在は苦手だ。巫女なのだが、相性が悪い。かと言って相性がいい存在がいるかというと、それも微妙なのだけど。
「まっ、お仕事お仕事。終わったら秋の味覚ふんだくりますか」
箒と塵取りを札と払い棒に持ち替えて、かん、と地面を蹴り空へと浮かぶ。暇を持て余しているらしく、青空に映える紅白目がけて襲ってくる妖精を適当にあしらい、時に雑に蹴散らして妖怪の山へと向かう。
 手癖で髪の毛を掌で押さえ、やはり青いままの山を眺め、間違い探しの絵を見た時のような正体不明の気持ち悪さに手を下す。
「……?」
 ちり、と項の産毛が逆立つ。違和感。こめかみに手を遣りながら、霊夢は山頂に目を遣った。そうだ、風が無い。山風だけではない、哨戒天狗が飛ぶ時に巻き起こす突風。神奈子が存在しているだけで起きる威厳の風圧。それら全てが無い。凪いでいる。
 嫌な予感がした。何の確証も無い勘でしかない。しかし幸か不幸か霊夢の勘はよく当たる。袖の下に仕込んである針の本数をざっくりと数えてから、インスピレーションの示すまま空を蹴って駆ける。とは言え、勘任せの行き当たりばったりではない。こんなことを起こせるような能力があって、こんなことが起きてても黙っているような存在はひとり、否、一柱しかいない。そうでなくても二柱だ。それでも、この静けさは不穏だ。たとえ山全体が何かの意図を持ってこの異変を申し合わせて引き起こしたとしても。
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